前年度準優勝の青森山田が、逆転で3大会連続8強を決めた。右サイドバックのDF内田陽介(3年)がロングスローから3点を演出。帝京大可児(岐阜)に4-2で打ち勝つ原動力になった。

0-1の前半13分、勢いよく助走をつけて放ったボールを、DF藤原優大主将(3年)の頭にドンピシャでアシストしたのを皮切りに、同39分のMF松木玖生(くりゅう、2年)の逆転弾、後半20分にDF秋元琉星(3年)の追加点の起点にもなり、スローインの達人として輝いた。

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1月3日は「ロングスローデー」? ウッチーこと内田が「神の手」で青森山田に勝利を呼び込んだ。前半7分に先制され追いかける展開で、飛び道具がさく裂した。同13分、的を目がけて飛び出す矢のごとく鋭いボールを投げ込み、藤原のヘディング弾を生んだ。「ターゲットの頭に合わせられるようなボールを投げることを意識しています」。その必殺技から藤原が「ポスト目がけてそらしたイメージ」と豪快にたたき込んだ。昨年1月3日の3回戦でも、内田はロングスローから先制点を演出。再び仕事人ぶりを見せつけた。

自慢の武器は進化を続け「飛距離は去年と変わらないが、ボールの質、スピードは変わっている」。練習では「何本投げるか決めてないが、いい形で(練習を)揚がることを意識しています」。15年度以降の青森山田でロングスローの名手は内田が4人目。先輩たちの影響を受けたわけではなく、中学1年時の冬ごろに「スローインを投げたらかなり飛んで、中学の監督から『やってみろ』と言われたのがきっかけです」。入浴後に肩周りなど中心に1時間近くかけてストレッチを欠かさず、幼稚園から小学6年まで続けた体操で培った柔軟性も生きている。

青森山田らしからぬ先行される展開だったが、内田の活躍で勝利をつかんだ。黒田剛監督(50)は「ロングスローという武器は苦しい試合に効果がある。今日はリスタートから多く(点を)取りたいと思っていたので、苦しい中で武器を発揮できたのは収穫」とうなずいた。5日の準々決勝では堀越(東京A)と対戦。2大会ぶり王座奪還へマジック3が点灯した。【山田愛斗】